江戸時代末期の幕臣で、
剣と書の達人でもあった山岡鉄舟。
鉄舟は剣の修行の一環として禅を学び、
大悟したと言われています。
その鉄舟のエピソードです。
ある人が山岡鉄舟に話しかけました。
「某禅師は『一切衆生にはみな仏性がある。
わしに参禅する者は猫でも杓子でも悟らせてやる』
といわれ、実際、その室に入る者は不思議とできるようです」
鉄舟の返答はこうです。
「そんなものは禅でもなんでもない。
なぞなぞに毛が生えたようなものだ。
多少の理屈はわかっても、生死解脱(しょうじげだつ)
とはなんの関係もない。
白隠が亡くなってからもう百二、三十年になるから、
そろそろそんな化け物が出てきたか」
鉄舟さん、あなたが亡くなって約130年、
精神世界には、
自分は悟らせることが出来る!
このセミナーを受ければ悟れる!
このメソッド、この瞑想で悟れる!
そんなことを言う人ばかりです。
どうやら日本の精神世界は、
化け物、魑魅魍魎の住処となってしまったようです。
もうひとつ鉄舟のエピソード。
鉄舟は清水の次郎長(幕末・明治の侠客)と親交がありました。
次郎長親分が、鉄舟に「悟りとは何か?」と尋ねました。
そのとき鉄舟が答えた言葉が「精神満腹」です。
鉄舟さん、日本の精神世界、
お金も名声も欲しい、あれもこれも欲しい、
餓鬼の巣窟です。
常に飢餓状態の「自称悟った人」が多いです。
いったい何を悟ったと言うのでしょう?
山岡鉄舟が今の世の精神世界で大きな顔をしている
「自称悟った人」を見たら何と言うでしょうね。
呆れ果てて、言葉が出ないんじゃないかな。
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悟りなんて定義出来ないものを売り物にするスピリチュアルの世界の悟り商人。