日本の自己啓発セミナーの変遷を書いた「心をあやつる男たち」を読みました。


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最近、何で自己啓発セミナーのことについて書いたかというと、

この本を読んだからなんですよね。

心をあやつる男たち (文春文庫)

心をあやつる男たち (文春文庫)

 

読んだらその当時のことを思い出しまして。

古本屋さんで見つけた文庫本です。

堀田敏安という人物を中心に、

日本の自己啓発セミナーの変遷が書かれています。


ハードカバーの初版は1993年に出ているので、

その頃は自己啓発セミナーのブームが

終焉を迎えようとしていた頃だと思います。


高額のセミナー料金、強引な勧誘、

参加した人たちと家族との軋轢が社会問題となり、

週刊誌などで自己啓発セミナーが「洗脳セミナー」などと

叩かれ始めた頃のことです。


1946年人間関係の改善を図るためにアメリカで偶発的に生まれた

センシティビティトレーニング(ST)。

日本ではプロテスタントの指導者たちの指導力向上のために

1949年にSTの研修が初めて行われています。

 

STの研修は受けた堀田敏安は、劇的な自己の変容、

人間関係の改善を経験したことによりSTに魅了されました。

そしてこれを企業におけるリーダーの育成プログラムとして、

社員研修の会社を起業したのです。


そのセミナーは厳しく、

堀田が公然と暴力を振るうこともあったとか。

しかし、大きな自己変容を経験し、

感受性豊かでアクティブな人間へと成長することもあり、

ときは高度成長期の日本、

モーレツ社員を推奨する企業に高い評価を受けることになります。


そんな中でセミナー中に、心身を喪失したのか、

「俺は石だ! 石だ!」と叫びながら逃げ出し、

自殺を図った管理職が出ました。

 

ただその日(1968.5.16 )は、十勝沖の大地震が起きたことで、

話題は地震一色となり、

その事件は新聞には小さいく取り扱われる程度だったそうです。


堀田は、STによる変容を「チェンジ体験」と称し、

それは禅でいう「悟り」の体験と同様のものだと思うようになります。

参加者の中には、花を見ては泣き、鳥の声を聞いては泣きと、

感受性が鋭敏になる人がいたそうです。


その真偽を確かめるため、

堀田は曹洞宗の総本山「総持寺」に出向き、

ときの管長と会います。

 

チェンジ体験の話をし、「それは悟りと同様のもの」という

認められたことで、堀田は大きな自信を持つことになります。

ただ最後に「堀田さん、その経験は続きますか?」と聞かれた堀田は、

「いえ、それが2、3ヶ月すると元に戻ってしまうんです」

と答えています。

ときの管長も「そうですか、禅も同じなんです」と答えています。


この部分を読み、スピリチュアルの人間なら、

俺はついに悟ったんだー!

と大喜びするだろうなと思いました。

 

セミナー参加者の中には、参加後に心が病み、

自殺を図る人もいたそうです。

しかし、その因果関係を追求することは難しく、

堀田が罰せられることはありませんでした。

 

次第に傲慢になり、教祖と言わんばかりに振る舞う堀田に、

社員たちは離れていき、独自の自己啓発セミナーを始めます。


セミナーで得られた精神的な高揚感、

変容もせいぜいもって数ヶ月なんでしょうね。

娑婆(実社会)で揉まれていくうちにまた元に戻ってしまう。

そしてまた高揚感が欲しくてセミナーに参加するような人もいたようです。


読んで、改めて自己啓発セミナーって、

実生活で役に立たないなと思いましたよ。

薬物中毒者のようなジャンキーを育成し、

金を使わせているだけだと。

 

また、いたずらに人の心をいじくりまわし、

最悪のケースを生んでいるんじゃないかと。


セミナーという特殊な空間を作り出して、

その中でしか味わえない高揚感。

そして、その特殊な場に集まった仲間だけしか共有できない共同体意識。


こんなの自立できない人間の傷の舐めあいでしかないでしょ。

助けあいなんかじゃない、共存ではないんです。

共依存です。

共依存の行き着く先は共倒れです。


ちょっと今日は思いつくままに書いちゃいました。

構成がめちゃくちゃだな(^_^;)

また自己啓発セミナーについて思いついたら、

書いて見たいと思います。